本年度から、日本生殖内分泌学会の理事長を拝命いたしました山口大学医学部産科婦人科学講座の杉野法広と申します。理事長の就任に際し、ご挨拶をさせていただきます。

私は昭和60年に山口大学医学部を卒業し、山口大学の産科婦人科学講座に入局依以来、一貫して卵巣―子宮内膜等の生殖を中心とした内分泌学を研究して参りました。いまや、この生殖内分泌学における研究領域は大きく広がり、特に分子・細胞レベルでの研究が急速に進展しつつあります。したがって、他分野にわたる知識の習得・広い視野での研究、領域を超えた研究が必要になっています。 日本生殖内分泌学会は、生殖内分泌学に関わる内科、小児科、泌尿器科、産婦人科、および基礎系などの様々な分野の研究者が生殖内分泌学の基礎と臨床の進歩・向上を図ることを目的としています。そのため、他分野の研究者による交流が行われており、まさに、さらなる発展が期待される学会ともいえます。今後は、特に若い研究者の育成と互いの交流が本会の発展には重要であると考えております。

近年、生命科学・医学の研究において、創薬、医療開発、技術革新などの重要性から、研究テーマが重点化され、特定の研究分野が推進され、国際競争も激化しています。その一方で、地道な基盤となる基礎的な学術研究の重要性も指摘されています。研究に携わる我々は、研究が本来、楽しいものであるから続けているのではないでしょうか。知的好奇心「知る、見つけることの楽しさ」に研究の原点があるのではないでしょうか。私は、あらためて思っています。     

今回、理事長として、歴史と伝統のある日本生殖内分泌学会の発展の一端を担わせていただけることを大変光栄に存じております。私は、生殖内分泌学の魅力を若手の研究者に伝え、活気ある学問領域にしたいと思っています、皆様方におかれましては、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


令和2年4月1日
杉野 法広