▽学術集会の報告▽

第26回日本生殖内分泌学会 学術集会を開催して

第26回日本生殖内分泌学会学術集会 会長 
金沢大学医薬保健研究域医学系医学類生殖・発達医学領域産科婦人科学教授
藤原 浩

 第26回日本生殖内分泌学会学術集会は、令和4年1月8日(土)〜9日(日)の2日間、金沢市アートホールで開催いたしました。お陰様で現地には82名の先生方にお越しいただき、オンライン参加も含めますと合計182名のご参加を賜りました。本学術集会では、例年のように特別講演2演題、教育講演1演題を企画し、一般口演は23演題のご応募をいただきました。学術奨励賞候補演題にはその中から6演題を選出いたしました。いずれのご発表におきましても、有意義かつ活発な討議がなされましたことに心より御礼申し上げます。
 テーマとしては掲げておりませんでしたが、本学術講演会では内分泌系と協調して生殖現象の制御に関わる免疫学についても議論を深めることを目的として、特別講演に生殖免疫学の専門家である日本大学医学部病態病理学系微生物学分野の早川智教授を演者としてお迎えしご講演いただきました。また生殖臓器の腫瘍学との接点を探る目的で、遺伝子改変マウス実験の専門家である金沢大学疾患モデル総合研究センター長の大黒多希子教授に同じく特別講演として性ホルモン依存性生殖臓器の悪性化に関わる新しい知見をご紹介していただきました。さらに、教育講演として東京医科大学産婦人科の小野政徳准教授に子宮機能における時計遺伝子のトピックをご紹介していただきました。このように、生殖現象を内分泌学も含めたより高い視点から俯瞰できる機会が提供できたのではないかと存じております。
 本学術集会の開催に際しましては、現地開催を目指し準備して参りましたが、新型コロナウイルス感染拡大が懸念される情勢の中、最終的にはハイブリッド・オンデマンド開催へと開催形式をシフト致しました。それに伴う運営費の高騰に対して本学術集会では、学会運営専門業者を入れずに金沢大学産科婦人科学教室が一丸となってすべて自前で作り上げる方針といたしました。運営面におきましては一部至らない点もあったかと存じますが、その反面、業者が入らないがゆえに迅速な対策が可能となったため、出張制限や当日の天候悪化による演者の先生の発表形態の直前の変更などにも柔軟に対応することができました。また厳重な感染対策の下で懇親会も開催でき、対面で意見交換いただけたのも参加者の皆様から好評を得ました。
 現地での集会が終了した翌々日からはコロナ感染の第6波による全国的な行動制限が施行され、まさに間一髪のタイミングでの学術講演会の開催でしたが、幸いなことに大きなトラブルもなく無事終了できましたことを、われわれ教室員一同安堵の胸をなでおろすとともに、ご参加・ご支援いただきました皆様方に心より御礼申し上げます。